1912年ノーベル生理学医学賞受賞者・アレクシス・カレル(Alexis Carrel)博士曰く、
土壌こそ人間生活全般の基礎であり、あらゆる農産物は、土壌中のミネラルを人間の体内に運ぶ偉大な仲介者である。したがって、人間の健康は肥沃で生産力のある土壌からしか生まれない。病気のほとんどは、空気や水や食物の中に存在しているミネラル類の不足によって生じる。
化学肥料は土壌に働きかけるのではなく、植物に無理やり吸収されるように造られており、植物と土壌の両方を毒してしまう。化学肥料では土壌の肥沃度を回復させることができない。
化学肥料を施された植物は見た目には青々としているかもしれないが、青々とした生長は水っぽい組織を生み出す。今日の食品は、自然性を奪われ、着色、加熱、漂白、保存加工によって、ビタミンや酵素などのもっとも貴重な要素が取り除かれる。
牛乳の低温殺菌は栄養摂取に不可欠な酵素を殺し、バクテリアの腐敗した死骸だけを残し、白いパンは人工的にミネラルやビタミンを強化されているが、生命の維持に必要な栄養素を含んでいる胚芽は取り除かれている。
年配の人なら誰でも、最近のパン、果物、野菜、食肉は昔のものとは全く似ても似つかないほど変わってしまったことを知っている。作物収穫高は数倍になったが、栄養面ではどんどん低下し、まるで蝋人形館の人形のような生命のないものばかりになっていると。
カリフォルニア大医学部准教授・ジョセフ・D・ワイスマン博士曰く、
たいていの医者は食物のことはあまり勉強しない。医学校において食物関係の授業が極めて少ないからだ。昨今の死に至る病気の多くはここ100年以内に出現したものであり、明らかに有毒な化学製品、つまり塩素とその化合物、コールタール派生物、調合された薬品、石油化学製品等によって発現してきたのである。
100年前には、心筋梗塞や心不全といった冠動脈系の心臓病は事実上知られていなかった。癌の死亡率は100年前はわずか1%だった。糖尿病はかつて米国で0.002%だったが、今は5%となっていると。
福井の林さんに勧められて読了。上記は序論で述べられている一節に過ぎない。土壌というものをほとんど深く考えてこなかった自分に気づかされる。
土壌こそ根本中の根本。あらゆる食物は土壌のミネラルと養分を人間の体内に運ぶ媒介だ。土壌と人間の本質的な関係を再評価する極めて良いきっかけとなった。前半がおすすめ。