安徽省の貧農出身、清末時代に一代で巨富を築き上げた胡雪岩(1823~1885)が、今の中国人の間で最も人気のある成功者らしい。
彼は杭州の金融業者に最初勤め、その後、友人(王有齢)に出資、その友人はその金で官職(浙江塩大使)を買い出世。その後互いに助け合い、胡雪岩は独立、金融業をはじめ、運輸、土地・食料など色んな事業を営み大成功。50歳を超えて設立した漢方薬局「胡慶余堂」は今でも老舗として残っている。
彼の言葉なのかどうか定かではないが、
・大胆な人は肥え、小胆な人は餓死する
・商売で儲かったら善行をすべき
・商売をするには第一に市場の安定が必要であり、市場が安定して初めて商売は活発になる
・商人は視野を地元に向けていれば地元の商売がわかり、国に向けていれば国の商売がわかり、外国に向けていれば外国の商売がわかるようになる
・大事業をやり遂げる人は、大局を見る視点が必要である。見識を省におけば省の商売をこなし、国におけば国の商売をこなし、外国におけば外国の商売をこなせるようになる
残念なのは、日本には彼を紹介する本が1冊もないこと。「政商」の善悪は脇に置いて、中国人の事業観を理解する参考になるはず。だが、殆どの日本人は彼を知らない。
