明治時代、『ベルツの日記』で有名なお雇い外国人エルヴィン・フォン・ベルツ(Erwin von Bälz)に、花さんという奥さんがいました。美しくて評判でした。
ある時、ベルツが羽織の裏地に見事な図柄があることに感激、「もったいない、なぜ隠すのか」と問うたら、花さんが答えた。
宝というものは衆人に見せるものではありません。何もかもさらけ出してひけらかすほどみっともないことはありませんよ、と。
日本の美意識、ここにあり。
奥ゆかしさのない私には耳が痛い話ですが、昔、学生服の裏側に龍や虎の派手な刺繍があったりしたのは、立派な日本文化だったのです (微笑)

