専門家・官僚の思考原理、「東大話法」とは?

専門家や官僚の行動原理、思考原理を「東大話法規則一覧」としてまとめた人がいる。東大教授の安富さんだ。元住友銀行ということで私の少し先輩にあたり興味を持って読了。

安富さんによると、現代日本人と原発の関係と、戦前の日本人と戦争の関係が似ているという。戦争へと突き進んだ流れと原発推進に向かった流れを、水の対流が始まる仕組みになぞらえ、権威者が使用する話法の煙に巻かれてはいけない、もちろん自分も使用してはいけないと主張する。

「東大話法規則一覧」を挙げると・・・

1. 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
2. 自分の立場の都合の良いように相手の話を解釈する
3. 都合の悪いことは無視し、都合の良いことだけ返事する
4. 都合の良いことがない場合には関係のない話をしてお茶を濁す
5. どんなにいい加減でつじつまのあわない事でも自信満々で話す
6. 自分の問題を隠すために同種の問題を持つ人を力一杯批判する
7. その場で自分が立派な人だと思われることをいう
8. 自分を傍観者とみなし、発言者を分類してレッテル貼りし実体化して属性を勝手に設定し解説する
9. 「誤解を恐れずに言えば」といってうそをつく
10. スケープゴートを侮辱することで読者・聞き手を恫喝し迎合的な態度をとらせる
11. 相手の知識が自分より低いとみたらなり振り構わず自身満々で難しそうな概念を持ち出す
12. 自分の議論を公平だと無根拠に断言する
13. 自分の立場に沿って都合の良い話を集める
14. 羊頭狗肉
15. 訳のわからない見せかけの自己批判によって誠実さを演出する
16. 訳のわからない理屈を使って相手を煙に巻き自分の主張を正当化する
17. ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる
18. ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて自分の言いたいところに突然落とす
19. 全体のバランスを常に考えて発言せよ
20. 「もし○○であるとしたらお詫びします」と言って謝罪したフリで切り抜ける

これだけではピンとこないかもしれないが、東大出身者というより「東大的」権威者が使う話法を類型化しておくことで、話す側に釘を刺し、聞く側に鵜呑みへの注意を促している。

個人的には特に8。「客観的」と「傍観的」に区別をつけないといけない。当事者が客観的にモノを話すと傍観者のように受け取られるということ、必ずしも常に客観的・俯瞰的視点が正しい結果を生むとは限らないこと。

こうしたことは当たり前なのだが、「客観」「分類」を土台にした科学的議論に価値を置きすぎると、「わからない」と正直に言えないプライドも手伝って、「主観」「感性」「良心」「当事者意識」を忘れがちであることに注意したい。

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―
原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

コメントを残す