孫子: 戦わずにいかに勝利するか、戦う羽目になったら「勝ち」ではなく「不敗」を保ちチャンスを狙え

「勝ち」より「不敗」をめざしなさい (講談社BIZ)
「勝ち」より「不敗」をめざしなさい (講談社BIZ)

を先日読了。そして昨日、著者の守屋淳さんに戦略論のレクチャーをいただきました。

戦略とは、「現状認識」と「目的/目標」と「道具」をどう組み合わせるか、そのロジック。頭の良い人がこのロジックを考え出すと他の頭の良い人と同じになりがち。他社と違う戦略をとるには、「現状認識」を大きく変えるか、「目的/目標」を大きく変えるか、「道具」を大きく変えるか、です。

『戦争論』で有名なクラウゼヴィッツにとって、戦争とは「決闘を拡大したもの」。戦争とは1対1の戦いで「やるかやられるか」、勝ち負けがはっきりするので、互いの打ち手がエスカレーションしがち。したがって、地力にまさる方が勝ち。ビジネスでいえば、地力にまさる企業が2位以下を真似る同質化戦略が有効だという捉え方になります。

一方、孫子は、戦争は一旦始めると簡単に終われない。大きく力を消耗する。したがって、戦争はなるべく避ける。もし戦争に巻き込まれたら、短期決戦。できるだけ早く終了させる。短期で勝てそうにないなら、決して戦うべきではない。

さらに、戦争には「勝ち」「負け」だけではなく「どちらでもない状態=不敗」がある。「不敗」は努力次第で何とかなるが、「勝ち」は相手次第。下降期はリスクヘッジ。上昇期はリスクテイク。

戦いに必要なのは2つだけ。

1 「崩し技」
2 「決め技」

さらに、決め技は3つ。

① 「物量・兵員で勝つ」 ◎
② 「精神力で勝つ」
③ 「情報で勝つ」

相手を分散させ、各「局面」で①を保つのが戦い上手というもの。その「局面」を作るためには、選択と集中が大事で、成功している企業は誰もが集まるところを「局面」にせず、なるべく人目につかず目立たないところを「局面」にし、①によって一つ一つ撃破していきます。

戦略はこのようにシンプルなのがいい。自分用のメモとして・・ ちなみに、守屋淳さんおススメの『孫子』は

孫子の兵法―ライバルに勝つ知恵と戦略
孫子の兵法―ライバルに勝つ知恵と戦略

確かにおススメ。戦わずにいかに勝利するか。昔読んで目からうろこでした。

世界一になれる分野を作る! そして分野毎にブランド!

フォーカス―市場支配の絶対条件
フォーカス―市場支配の絶対条件

では、事業上フォーカスする大切さが述べられていますが、単に本業回帰や多業種展開のマイナスを謳っているのではありません。

「一番」になれる分野は何なのか?狭くていい。分野/地域/業界を細分化して、その「分野」「地域」「業界」でリーダーシップをとるということ、その狭い中で50%のシェアをとるということ。

さらに重要なのは、複数のサービスや製品を抱えている場合、それぞれの分野に複数のブランド/レーベルを用意する必要があるということ。

例えば、タイム社は「タイム」「フォーチュン」「ライフ」「スポーツイラストレイテッド」「マネー」「ピープル」「エンターテイメントウィークリー」など個性あるブランドを抱え、それぞれの分野にフォーカス。

最近の日本では、グレープストーン社が「東京ばな奈」「銀のぶどう」「ねんりん家」という人気ブランドを抱えていますが、一つの会社が展開していることを知っている人は少ないと思います。

さあ、世界一になれる分野を作るところから始めましょう。

ヤフートピックスはどのように作られるのか?

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)
ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

を読了。1か月の閲覧数:45億ページ、1ヶ月の訪問者数:6970万人を誇るヤフートピックスに掲載されると、すごいPR効果になりますが・・・、

著者・奥村倫弘さんの一番伝えたかったことは、

・企業はもっと直接的に消費者に語りかける情報発信をすべき。正式なリリースでなくてはいけないという強迫観念は不要。プレスリリースのように襟を正して話題を提供すると、一般の人にはわかりにくい。もっと自然体で消費者に接していいのではないか。世の中に提供できる知識をもっとインターネットに公開すべし。

・企業活動を通じて社会に貢献する何かがあるからこそ、その企業には存在価値が認められる。

・「売らんかな」の宣伝ではなく、「世の中をよくしたい、いい方向に変えていきたい」という情熱や信念に支えられている価値ある情報(ニュース)であれば、 その思いは報道機関の記者にも届く。

ということかと思います。情報提供の本質を改めて共感。

「NO」と言えないインド人と真逆のインド人

インドでビジネスを行う際に注意すべきことがあります。

たとえば、自分にはできそうもないのに「NO」と言い出せないインド人は実は少なくありません。そのためにも、安心して「NO」と言える状況を作ってあげることが重要です。

また話し合いの席では、年長者に遠慮して意見を控える風潮がありますが、何も反論しないからといって、その発言に同意しているわけではありません。

一方、欧米化されているインド人は意見もはっきり言うので、彼らに合わせた対応の仕方が望まれます。国際会議でインド人を沈黙させるのは至難の業だという声も聞かれます。

さすがインド、多様です。

参考: http://www.davinciinstitute.com/events/442/startup-junkie-underground–monday-may-17-2010

トップセールスの極意

社長がやるトップセールスの極意
社長がやるトップセールスの極意

販売の鬼と呼ばれ、リコーの最強販売軍団を作り上げた田中道信さんが、ご自身の失敗談も交え、どのような点に留意してトップセールスをすべきか、販売部門・販売網・仕入先を強化すべきかを具体的に述べている。

実践の場にいる経営者にとって、マーケティングとは、

1 マーケットインの思想で
2 売れる商品をどう探し、見つけるか
3 売り方をどう決めるか

という急所について、トップセールスをやりながら、顧客の動向、自社の体質・戦力、ライバル会社の動向を直に感じ考え、自社に合った実行可能なやり方に絞り込むこと。

マーケットインとは、相手の立場に立って、全員で「お役立ち」を考えること。社内であろうと、次の工程にいる人・部門は「お客様」であること。

人間がやるのだから欠陥があって当然。悪い点があるほど宝の山だ。悪い点は次々と直していけばいいじゃないかと。

参考にしたい。★★★★☆

利益を5%上げる確実な方法

ローコスト・オペレーション (PHPビジネス新書)
ローコスト・オペレーション (PHPビジネス新書)

を読了。副タイトルに「利益を5%上げる確実な方法」とある。

真にプロフェショナルなマネージャーは全てのプロジェクトの進捗具合をやはりキチンと細かく管理するものだと改めて勉強になった。

プロジェクトマネジメントを学び直して実践しなければ・・と思い知らされた次第。

良書。★★★★☆

盛田昭夫さんの人材論

  盛田昭夫さん(1921-1999、ソニー創業者)

アメリカでは人間より先にポストがあり、そのポストに向いた人間をはめ込んでいく。ポストに合わなくなったら別の人をはめ込む。まるでブロック建築だ。日本ではブロックというわけにはいかないが、石垣なら積めるじゃないか。

同じ形をしたブロックより、色んな形をした石を組み合わせながら積んでいくほうが、頑丈な石垣ができる。

メディア「炎上」が起きる6つの原因

ブログやSNSなどで「炎上」が起きる原因について、ループスの斉藤社長が述べておられました。

1. 反社会的な記事
2. 誤った知識の知ったかぶり
3. 主義の対立、感情的な反論、不都合コメントの削除
4. 提灯記事
5. 身分を隠しての擁護、サクラ的行為
6. 問題対応時の稚拙さ、遅さ、隠蔽姿勢

重要。メモとして・・
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/03/post-6fde.html

自分で薪を割れ、二重に温まる

Chop your own wood, and it will warm you twice.

米国の自動車王・フォード氏の自宅にあるストーブの上に彫られていた文言。

昔は、肥満であることが豊かさの証だった。痩せたフォードに対して、ある大会社の肥満の役員がこう言った。「フォード君、君は飢え死にしそうだね。」

それに答えてフォードは「ところが僕は、まだ一度も病院の厄介になったことはないんだよ。 (中略) 食べすぎで手術されている人を見ると、決まってあなたのように太った人なんだよ。」と、上記の文言を見せ、自ら勤勉に動くことこそ健康の秘訣だと言った。

彼の邸宅は大富豪になった後も慎ましいものだったらしい。勤勉で質素で偉大な創業者、ここにあり。

Henry Ford  (1863-1947)
自動車会社フォードモーター創業者

10%でいい、返謝・還元する商売は繁栄する

繁栄の法則―戸が笑う
繁栄の法則―戸が笑う

を読了。拡大だけを目指してると拡大できない。順調なときほど、社会や顧客に「返謝」還元し、質を高めようという主張だ。耳が痛い・・・

熊本で陶芸を営む北川さんの造語・『返謝」とは感謝を実際に返すこと。感謝に満ちて和気藹々としている会社の入口=「戸」は「笑っている」。だから人が集まり、客が集まるんだと。

10%でいい、世のため、人のため、客のため、協力先のため、社員のために還元し続けようという著者の主張は、永続的な繁栄には必要なのだと改めて思う。キーワードは「10%」。

うちの「戸」は笑っているだろうか・・・

あきゅらいず、いい会社です!

昨日は、武蔵境にあるあきゅらいず美養品に会社見学へ。南沢さんに案内いただきました。

広々したオフィスで、打合せスペースも癒し系でいい感じ。

オフィス内には、こんなエコで優しい暖房機がいくつもありました。

特に驚いたのは、

・色んなお客様から社員に手作りのプレゼントが送られてくること
たとえば、お客様お手製のヘアバンド100個が家族のメッセージ付きで会社に送られてきたり・・・

・素敵な社員食堂を設置していること
化学調味料を一切使わない。社員だけでなく配送業者さんや営業マンも食べられたり・・・

楽しい職場作りに徹している会社です。2,000人以上の新卒採用応募が来ているそうですが、さもありなん。

まさに日本のZappos。大変参考になりました!&ご馳走様でした。

ワクワクする仕事に特化して取り組め

会社でお手伝いをしてくださっている濱野大道さんが翻訳に携わった『「興味」と「成功」の法則』を読了。

著者マーカス・バッキンガムさんの主張はシンプル。自分の真の「強み」を明確に知ること。そしてそれに特化して仕事をせよ。それだけだ。

もっと大胆に言うと、自分が本当にワクワクする仕事に特化して取り組め、そのほうが成果が出る、ということ。

「強み」というより「ワクワク」というほうがピンとくる。「ワクワク」には真の「強み」が宿っている。しかし、意外に自分の「ワクワク」を自分が明確にわかっているとは限らない。なんとなくわかっていても、多くの人が「私は~すべき」と考えて仕事をしている。

「私は~すべき」と考えている仕事はあなたの「強み」を発揮できる仕事ではない。本能的に楽しくできるか、本当に没頭できるか、終わった時充実感に溢れるか、を自問したほうがいい。

彼の5つのアドバイスを私流に書き換えると・・・

1 あなたの「ワクワク」「強み」を会社や他人に完全に理解してもらうことなど無理。

2 あなたの「強み」はあなたの得意なこととは限らないし、あなたの「弱み」はあなたの苦手なこととも限らない。

3 仕事で重要なのは、具体的な仕事内容があなたの「ワクワク」を刺激するか否か。

4 自分に完璧にフィットしている仕事を与えられると思うな。自分の強みを活かせるように自分自身で工夫を加え、その仕事を書き換えていけ。

5 自分が弱い仕事は何なのかを知れ。そして、その弱い仕事にはなるべく携わらないようにするか、そこに強みを発揮する人と組むか、徹底的に強みを磨くことに集中するか、弱い仕事に対し自分の「強み」を発揮する方法で取り組むか、やはり立ち向かうか、で対処せよ。

以前、ラスベガスに行った時、著者・バッキンガムさんの講演を直接聞くチャンスがあったのに、時差ぼけで寝過ごしてしまったのが今になって悔やまれます・・・(笑)

「興味」と「成功」の法則 “ほんとうのあなた”を仕事に活かそう! (DVD付)
「興味」と「成功」の法則 “ほんとうのあなた”を仕事に活かそう! (DVD付)

追伸 付属のDVD、見る価値大。元気が出ること、間違いなし。

東京商工会議所の海外展開サポート

これからグローバルな事業展開を考えている中小企業に対し、東京商工会議所が以下の団体と連携して、コンサルタント、国際弁護士、専門家派遣をしています。

相談窓口: 03-3283-7700

連携団体:

・JETRO
・中小企業基盤整備機構
・日本政策金融公庫
・東京都中小企業振興公社

たとえば・・・

・海外からオファーが来たがどう対応して良いのかわからない
・海外に販路を求めるときにどんな準備をすべきか
・貿易を開始することになったが事務手続きがわからない

などの悩みに対して入り口のところを応援してくれます。海外取引に関し初めての企業は相談されてみてはいかがでしょうか。

どうすれば人が幸せになる会社を創れるのだろう?

あきゅらいず美養品社長・南沢典子さんから激しく薦められた『ザッポスの奇跡』を読了。こんな会社があるんだ・・・とアンダーラインを引きまくりながら一気読み。さらに、彼女が米国の同社を訪問した際に撮った映像も観了。

ザッポス(Zappos)とは、米国で大人気のインターネット通販会社。靴から始まって、最近は衣料、時計、化粧品、家庭用品、ジュエリーなどを販売している「サービス・カンパニー」だ。

「どうすれば人が幸せになる会社を創れるのだろう?」に対する一つの解がこの会社にある。

「大学のキャンパス」のような、自由で開放的な職場。結束力が漲って、笑いが溢れる、楽しい職場。社員も、顧客も幸せになれる会社をつくりたい。社員の「個」が発揮され、活かされる会社にしたい。

そんな思いを一生懸命叶えようと努力している、実に面白い会社だと思う。

顧客に対するサービス、社員に対するサービスをコストと捉えず、徹底的に顧客と社員と企業文化創出に投資することで、熱狂的な顧客と社員が次々に生まれる。

・24時間年中無休の電話対応
・送料無料、翌日配達
・返品は何回でもOK
・ コンタクトセンターの社員には一切スクリプトなし
・社員は顧客に驚きと感動を与えるために何をしてもいい(時間もお金も制限なし)
・顧客が求める商品がない場合、必ず他社サイトを最低3個調べて紹介する
・社員の医療保険、全額会社負担(米国ではすごいこと)
・食堂は利用無料
・昼寝室あり
・新人研修途中で脱落した人に約20万円支給

など数え上げても切りがない。考えさせられてます・・・

ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles
ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles

2つが1つになれちゃうことを・・・

キリンとサントリーの統合破談のニュースに接し、なぜかB’zの歌詞が頭の中に流れました。

2つが1つになれちゃうことを 
気持ちいいと思ううちに
少しのズレも許せない 
せこい人間になってたよ

個人的には残念です。キリンさんは上場会社なので多くの株主に説明できる統合でなければいけないのは当たり前。企業価値に関する「常識的なライン」を提示したのでしょう。あとは、オーナー企業のサントリーさんがどれだけ譲るか、それともどれだけロジカルに自社の企業価値を算定提示できるかだったと思うのです。

個人的に、対等統合もおかしくないと思いますが、サントリーさんの簿外価値(文化的支援やブランド価値)を数字でどれだけ納得できるものにするかが求められていたのかな・・と。事情を知らずに勝手なことを書きました。

 
画像:mainichi.jp

新たな企業成長のための6つのポイント

そもそも「本業」とは何か?

この「本業」を定義する上で、従来のように「・・業」と定義するのではなく、

・自社に最も高い収益性をもたらしうる顧客層は?
・自社において最大の差別化要因になっている点は?
・自社に不可欠な商品やサービスは?
・上記4つを支える重要な資産(特許、ブランド、ネットワークなど)は?

を考えてきめ細かい定義を行うこと、そしてその「本業」を強化すべきだと主張するChris ZookさんとJames Allenさん(『本業再強化の戦略』著者)。さらに、本業の周辺領域に進出して企業成長を図る場合、以下の6つのポイントを検討用テンプレートとして提供しています。

1 新しい地域に拡大できないか?
・世界進出による拡大
・より国内ローカルへ拡大

2  新しいチャネルへ拡大できないか?
・インターネットによる拡大
・自社チャネルによる拡大
・間接チャネルによる拡大

3 新しい顧客セグメントへ拡大できないか?
・現在のセグメントをより細分化
・まだ掘り残しのあるセグメントへ
・全く 新しいセグメントへ

4 新しい製品で拡大できないか?
・次世代モデル製品
・製品サポートの向上
・他を補完するする製品
・全くの新製品

5 新しい事業で拡大できないか?
・新規需要をおこす
・代替ビジネスをおこす
・全く新しいビジネスモデル

6 新しいバリューチェーン を作れないか?
・上流への垂直統合を図る
・下流への垂直統合を図る
・売却の可能性を探る

自分用のメモとして・・

本業再強化の戦略
本業再強化の戦略

自らが行うべき仕事に取り組む時間をつくるために、社員にできることを任せることのみ

「多くの権限委譲は間違いである。自らが行うべき仕事を権限委譲してはならない。いいのは、自らが行うべき仕事に取り組む時間をつくるために、社員にできることを任せることのみである。」

Peter Drucker (経営思想家)