2: 英語ユーザーの相対的減少
次に、ウェブにおける英語の重要性の高まりと同時に、英語の限界も注目され始めています。
確かに英語の普及はインターネットの普及と歩調を同じくしながら大幅に進んでいます。
現在、英語は世界で最もポピュラーな第一外国語になっており、今後も、共通言語としての英語の地位は揺るぎないものになっていくでしょう。
しかし、それと同時に、英語一元化に対する反発、母国語に対するアイデンティティ強化をめざす動きも活発になっています。
感情やニュアンスを大切にするコミュニケーションでは、ますます母国語を選び、自分の住む地域やコミュニティの方言を好む流れは着実に進むものと思われます。
それは、教会の共通言語がラテン語のみであった時代から、印刷機の発明を境に、世界各地で現地語や方言による出版が進むことで、世界中で眠っていた言語が生き返った状況と似ています。
実際、英語以外のインターネットアクセス人口は急激に増えています。
2006年3月時点
英語 3億1276万人 (30.6%)
英語以外 7億1010万人 (69.4%)
世界合計 10億2286万人
2007年3月時点
英語 3億2678万人 (28.6%)
英語以外 8億 215万人 (71.4%)
世界合計 11億2893万人
2008年6月時点
英語 4億3080万人 (29.4%)
英語以外 10億3283万人 (70.6%)
世界合計 14億6363万人
2009年3月現在
英語 4億6379万人 (29.1%)
英語以外 11億3248万人 (70.9%) (うち日本語 約9400万人)
世界合計 15億9627万人
2010年6月現在
英語 5億3656万人 (27.3%)
英語以外 14億2995万人 (72.7%) (うち日本語 約9914万人)
世界合計 19億6651万人
出典: http://www.internetworldstats.com/stats7.htm
現在、英語以外のインターネット人口は、英語の約2.7倍。この1年間で英語以外のインターネット人口は約3億人増え、さらに増える勢いを見せています。
実際、ウェブに関心の高い先進的米国企業は、米国以外の市場の90%が非英語であることを認識して、ウェブ戦略を立てています。
つまり、すでに英語で何でも済ませる時代は終了しているのです。