成功の多くは実力ではなく、単なる運だと思え
ナシーム・ニコラス・タレブの『まぐれ』を読了。投資家や事業家が直視したくない残酷な真実、つまり「成功の多くは実力ではなく、単なる運」という事実をこれでもかと突きつけられる読書体験ですばらしかった。ページをめくるたびに、過去の自分の愚かさを指摘されているようで、耳が痛かったがこれは良書。
私たちはなぜか、成功した時は「自分の実力」だと言い張り、失敗した時だけ「運が悪かった」と言い訳をする。そんな都合の良い思考回路を持った生き物なのだ。
世の中の「成功法則」がいかにデタラメであるか
私はこれまで「勝者」には共通するコツやルールのようなものがあると思っていたが、すべて「たまたま生き残った勝者」だけを見た「生存バイアス」に過ぎなかった。
冷静に考えればたしかにそうだ。「勝者」の影には、同じように努力してリスクを取りながらも、不運によって破滅していった無数の「敗者」たちがいる。結果が出た後からなら、どんなことにでももっともらしい理由(因果関係)をつけることができるのだという本書の指摘は、私の情報に対する見方を完全にひっくり返した。
この本を読んで、人間の脳は生来、確率を正しく理解できず、すぐにもっともらしい物語(迷信)に騙されるようにできている。だからこそ、特に投資については、自分の感情を排除し、「想定外の事態(=黒い白鳥)」が必ず起きることを前提とした厳格なルール(ストップロスの徹底など)で自分を縛らなければならない。
人生や市場を支配する「まぐれ(運命)」を、私たちが完全にコントロールすることはできない。古代ギリシャの賢人ソロンが言うように、最後まで何が起きるかは誰にもわからない。
理不尽な不運に見舞われたとき、それにどう立ち向かうか
「振る舞いの美しさ(品格)」だけは、自分自身で決められる。運命の不確実さを謙虚に受け入れ、驕らず、しかし尊厳をもって生きる、それが、本書の最大の肝だろう。
